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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」

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プレトは、白い愛車に装備を詰め込んでいく。

沢山あるから、1人乗り用のレグルスはスペース的にギリギリだった。

シートの背もたれを倒す余裕もなさそうだ。

しかし、チユリさんが必死でかき集めてくれたものなので、

すべて持って行きたかった。

服装は上下セットのジャージにした。

全体がブラックで、ゴールドのラインが入っている。

スポーツブランドのもので、

タンスの肥やしになっていたところを引っ張り出してきたものだ。

靴は白のスニーカー。

寝癖が直らなかったので、黒のキャップも被ることにした。

衣類は必要最低限のものを持っていくつもりだったが、

立ち寄った街で買い足すことも可能だと思い、

動きやすいものだけを適当にピックアップしておいた。

荷物を積み終わると、プレトは振り返り、

自宅兼研究室を見上げた。

大家さんには、出張中に友だちが住むから、

この家はそのまま使わせてくれと伝えてある。

このオンボロ賃貸の持ち主はとても緩い人物なので、

二つ返事で了承してくれた。

ここはプレトにとっても、

ルリスにとっても居心地のいい場所だった。

思い出が詰まっているこの家に、

再び住める日が来るのだろうかと、

少し感傷的な気分になる。

しかし、プレトは自分に言い聞かせた。

……これからはルリスが使ってくれるのだから、それでいいじゃないか。

……ルリスが安全に暮らせるのなら、それでいいじゃないか。


プレトは、荷物でいっぱいになったレグルスに乗り込む。

帰れない可能性もあるのに、

プレトの心は予想に反してやけに落ち着いていた。

昨日、ルリスに会えたのが大きかったかもしれない。

ルリスは帰り際に、プレトの右手を自分の両手できつく握ってくれた。

プレトも自分の左手をルリスの右手に添えて、きつく握りしめた。

ルリスの手はとても温かかった。逆にルリスにとって、

プレトの手は冷たかったかも知れない。

「スプレー、ありがとう」と言ったルリスの小さな声が、

今でも頭の中で響いている。

結局、プレトの本心も、この旅が追放を意味しているということも、

ルリスには伝えられなかった。

傷付けたことを謝ることもできなかった。

だが、なんとか出発前に仲直りができてよかった。

スプレーを渡せてよかった。

変なジュースを買っておいてよかった。


しかしプレトは、思い出の反芻をそこで無理やり止める。

友人との仲が丸くおさまったのだ。

喧嘩別れにならずに済んだのだ。

それだけでもう充分だ。

そろそろ出発しなければ。

「私も、ほうれん草ババロアの方が好きかもしれない」

プレトはひとり呟くと、レグルスのエンジンボタンを押した。

レグルスがその場に浮遊し、ボディを支えていた脚が収納される。

プレトはU字のハンドルを握りしめ、ゆっくりとアクセルペダルを踏む。

レグルスが滑るように動きはじめ、道路に出ていった。

今まで帰る場所になってくれたボロ屋に、

心の中で「バイバイ」と別れの挨拶をした。


出発して数時間が経ち、いくつかの小さな街を通りすぎた。

昼食は、、、




*続きは、こちらから、どうぞ!


【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」

by RAPT×TOPAZ





皆様に沢山の祝福が望みますように

むね


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光の騎士 むね

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