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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第1話・運命の命令書」

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   1 運命の命令書


「最後のシーン良かったよね、まさかスライムと

クマが一緒にあんなことするなんて」

ルリスがそう言って鼻をかんだ。

「本当に良かった。敵対していたのに、まさか

あんな和やかなラストになるなんて」

プレトは深く頷いて答えた。


二人は、プレトの自宅兼研究室で映画を見終わったところだ。

この庭付き一戸建てのオンボロの賃貸物件は、

プレトの趣味の実験器具で溢れていたが、

意外と居心地がいいらしく、

ルリスはしょっちゅう遊びに来ている。

本当にしょっちゅうなので、

プレトはルリスに郵便受けのチェックすら頼んでいたほどだ。


ルリスはいつもは手ぶらでプレトの家に来るのだが、

今日は「新感覚!癒し系ホラー!」とあちこちで宣伝されていた

謎めいた映画のビデオを借りて持ってきた。

どうせ大した映画ではないだろうと思っていたが、

思いのほか面白く、

2人で感情移入しながら最後まで観入ってしまった。

「プレトもドリンク、飲むよね」

ルリスがそう言って、2人がけのソファーから立ち上がると、

プレトの返事も待たずに冷蔵庫に向かっていった。


映画が終わり、画面を切り替えると、

パラライトアルミニウムの枯渇問題に関するニュースが

目に飛び込んできた。

何やら不安を煽るように報道している。

パラライトアルミニウムは虹から抽出されていて、

今年はその虹が足りないとアナウンサーが説明していた。


毎年、雨季になると、

国内に出現する虹からパラライトアルミニウムを採取し、

抽出し、貯蔵しているのだが、

今年の雨季はほとんど雨が降らず、

虹が出ないまま終わってしまったらしい。

だが、、、



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第1話・運命の命令書」

by RAPT×TOPAZ




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むね


【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第2話・不可解な応答」

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プレトは困惑した。

命令書を見るのは初めてだった。

よく見ると、差出人は職場だけでなく、

法務省も連名になっていた。

法務省にも関係があるのか?

短い命令書の内容を何度か読み返してみたものの、

プレトには全く状況が掴めない。


プレトは思う。

そもそもパラライトアルミニウムが枯渇するはずがないし、

百歩譲って、

誰かが虹の採取に行かなければならないとしても、

採取チームに命令すべきだろう。

私は研究チームから動いたことすらない。

しかも、宛名が「プレト殿」となっている。

この書き方だと、

まるで私1人で行くようにと言われているようだ。


プレトは研究所の人間関係にも待遇にも余り不満はなかったが、

頭をよぎったのは「退職」の2文字だった。

だが、そう簡単に辞めるわけにもいかない。

この国では、

基本的に職業は1度決めたら変えるのが難しい。

再就職のハードルはとても高く、

退職理由が何であれ、次の仕事は危険度がより高く、

給料の低い仕事になる場合がほとんどだ。


何よりも、世間体が悪くなり、

肩身の狭い思いをすることになる。

状況が何も分からない今、焦って退職するより、

先ずは苦情の申し立てをすべきだと判断した。

若手のプレトにとっては、苦情の申し立てすらも、

自分の立場を危うくするリスクを孕んでいたが、

ここは自分を奮い立たせるしかない。


プレトの職場は、

パラライトアルミニウムの研究をしている国立の研究所だ。

そこにはいつも人がいて、各々の作業や研究をしている。

だから、定時が過ぎた今でも、

誰かが電話に出てくれる可能性は高かった。

さすがに所長はこの時間にはいないだろうと思ったが、

上司の誰かとなら話せるかも知れない。


プレトは携帯電話を手に取り、、、



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 –

「第2話・不可解な応答」by RAPT×TOPAZ





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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第3話・所長との対峙」

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プレトはレグルスで職場に向かいながら、

これから起こりそうな展開を予測する。

プライドの高い所長に、苦情の申し立てをするのだ。

怒鳴られるだろうか、なじられるだろうか。

考えただけでつらい。


職場に着くなり、チユリさんが駆け寄ってきた。

所長がいるから話し合いができるだろうと、

わざわざ伝えに来てくれたのだ。

「大丈夫だからね、終わったら話、聞くからね」

チユリさんはそう言って、プレトの背中をぽんと叩いてくれた。

チユリさんが所長になればいいのにと本気で思った。

寝癖も撫でつけてくれたが、チユリさんが笑っていたので、

きちんと直らなかったようだ。


所長とは内線電話でアポをとり、午前中のうちに会うことになった。

胃がキリキリするのを感じた。

「失礼いたします」

プレトが所長室に入ると、所長はデスクの向こうに

どっしりと腰を下ろして構えていた。

「どうぞ」

所長がパソコンの画面から目を離さずに口を開いた。

プレトは両手を固く握りしめた。


部屋に入ってドアを閉めると、勇気を振り絞って口を開いた。

「昨日、命令書が届いたのですが、あまりに突然のことですので、

応じることはできかねます。虹の採取は辞退させていただけませんか」


所長はしばらく黙っていたが、やがて静かに言った。

「そうはいかん。君も知っているだろう。パラライトアルミニウムの

枯渇問題が深刻なんだ」

「パラライトアルミニウムの枯渇問題は、本当に起こっていることなのですか。

あんなに効率がいい資源なのに、枯渇するなんて、とても信じられません」

「君はニュースを知らないのか。雨季に雨が降らず、

虹が出なかったんだ。足りなくなるのも無理はない」

所長は冷たく答える。

プレトは、さらに勇気を振り絞って質問した。

「虹が出ない年は、これまでも何度もあったはずです。

でも、枯渇が心配されたことは一度もありませんでした」

「今年は例年より、パラライトアルミニウムの消費が激しいんだ」


「レグルスに必要なパラライトアルミニウムは数滴だけです。

国民全員が毎日利用しても、消費量は問題ないはずです。

マスコミが視聴率稼ぎのために、

意味もなく騒ぎ立てているだけに思えるのですが」


所長は何も答えなかった。

話し合う気など最初から全くなさそうだ。


だがプレトは、納得できないまま引き下がるのはご免だと思い、

最も疑問に思っていることを問いただした。

「なぜ私がレインキャニオンに行かなければならないのですか。

虹の採取なら、採取チームに命令するのが筋だと思います」


「君みたいな研究チームの人間にも、、、



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第3話・所長との対峙」

by RAPT×TOPAZ





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むね


【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第4話・すれ違い」

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暗い気持ちに支配されているうちに、定時になった。

プレトは重い足取りで帰宅の準備をする。

リュックを背負ったところで、チユリさんに話しかけられた。

「これ、レインキャニオンの資料よ。渡しておくね」

プレトは受けとる。資料は使い古されたものではなく、

新しく印刷されたものだった。

わざわざプレトのために用意してくれたようだった。

「ありがとうございます」

プレトは目を合わせてお礼を言った。

「装備については任せておいてね。管理しているのは私だから、

とっておきの重装備にしてあげる」

チユリさんの声からは、強い意思を感じられた。

プレトは彼女の身を案じた。

「でも、私にだけ重装備を与えたら、所長に叱られませんか」

「大丈夫。何も言わずに用意すればいいだけよ。

誰にもバレはしないわ。あなたが心配することはないの」

チユリさんが不敵な笑みを浮かべる。なんて頼もしいんだろう。


プレトは自宅兼研究室に帰ると、直ちにソファーに座り、

レインキャニオンの資料をじっくりと見てみた。

すると間もなく、「ピンポーン」と玄関のベルが鳴る。

インターホンの画面にルリスが映っている。

応答せずに玄関に行ってドアを開けると、

ルリスがにこにこしながら入ってきた。

「プレトもドリンク飲むよね」

そう言って、ルリスはキッチンへ向かっていった。

改めてプレトはソファーに座り込む。今度は左側に身を寄せた。

ルリスがドリンクと氷が入ったプラスチックコップを、

両手に1つずつ持ってきた。

そろそろと片方を差し出しながら言う。

「今日もお疲れさま」

「ありがとう」

プレトは、なみなみに注がれたコップをゆっくり受けとる。

ルリスも自分のを啜りながら、ソファーの右側に座る。

「職場から命令されて、レインキャニオンに行くことになった」

プレトが手に垂れたドリンクを拭きながら言った。

「この家は空けるから好きにしていいぞ」

ルリスは呆気にとられた顔をした。

「え、急になに? え? そういうのって専門の人が行くんじゃないの?」

「私も研究所の人間だからね」

冷静に答えるプレトに、ルリスは被せて質問してくる。

「採取チームの人たちは?」

「今回は研究チームに採取させたいみたい」

「何人で行くの?」

「1人」

プレトが答えると、 ルリスは目を大きく見開き、

まばたきもせずに言った。

「1人?  華奢な女性がたった1人で虹の採取に?」



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第4話・すれ違い」

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第5話・別れの挨拶」

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ルリスと言い争いをした数日後、プレトは職場で装備を受け取った。

「重くなってごめんね」と、チユリさんが渡してくれた。

確認してみると、通常の装備よりもかなり充実している。

予備も多く入れられていて、

何かが故障しても不足することはなさそうだ。

「こんなに沢山、ありがとうございます」

プレトは感謝を伝えた。

そして、 装備品をいくつか取り出しているうちに、

あるものが入れられていることに気付いた。

「え! これって、ポケットムイムイですか」

「そうよ。奮発したの」

ポケットムイムイは貴重品だ。

ムイムイをまとめて固めたもので、通常のムイムイと同じように、

濁ったシャボン玉のような色と、グミのような質感をしている。

自重で少し潰れていて、大きな饅頭のようだ。

重くて浮かばないので、木箱に入れられている。

これを少しずつちぎり、

携帯電話や通信機の本体にくっつけて使うのだ。

通常、ポケットムイムイは、

1つの採取チームにつき1つだけ携帯が許されている。

個人で所持できることはないに等しい。


「ムイムイはどこにでもあるから大丈夫だとは思うけど、

風向きの関係で捕まえられないタイミングもあるだろうしね。

だから持っていって。これがあれば、

私もあなたといつでも連絡が取れるし」

「本当にありがとうございます。大事に使います」

「旅立つ若者へ、せめてものはなむけよ」

チユリさんは優しい笑顔でそう言った。


プレトは自宅で溶液を作りはじめる。

ラピス溶液と成分が同じだったあの溶液だ。

あると便利そうだから、装備に加えようと思ったのだ。

でも、追放のきっかけになったものを持っていくのは

不思議な感じがする。

ルリスにもそれを渡しておきたかった。

この溶液は友人にとっても役立つだろうし、

一応、連れて行けないことへの謝罪の気持ちも含まれている。

実は、出発前に挨拶がしたいと、

ルリスから先ほど連絡があったばかりだ。


プレトは作りはじめた。

材料は、オオザリガニモドキが脱皮した甲羅と、

エノキマイマイの殻、ヨセフという品種のアンズ、

その辺に生えているミント、ラベンダー、シソ、ドクダミ。

香りを良くするために、ラベンダーを倍量にして、

あとはだいたい、、、




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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第5話・別れの挨拶」

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」

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プレトは、白い愛車に装備を詰め込んでいく。

沢山あるから、1人乗り用のレグルスはスペース的にギリギリだった。

シートの背もたれを倒す余裕もなさそうだ。

しかし、チユリさんが必死でかき集めてくれたものなので、

すべて持って行きたかった。

服装は上下セットのジャージにした。

全体がブラックで、ゴールドのラインが入っている。

スポーツブランドのもので、

タンスの肥やしになっていたところを引っ張り出してきたものだ。

靴は白のスニーカー。

寝癖が直らなかったので、黒のキャップも被ることにした。

衣類は必要最低限のものを持っていくつもりだったが、

立ち寄った街で買い足すことも可能だと思い、

動きやすいものだけを適当にピックアップしておいた。

荷物を積み終わると、プレトは振り返り、

自宅兼研究室を見上げた。

大家さんには、出張中に友だちが住むから、

この家はそのまま使わせてくれと伝えてある。

このオンボロ賃貸の持ち主はとても緩い人物なので、

二つ返事で了承してくれた。

ここはプレトにとっても、

ルリスにとっても居心地のいい場所だった。

思い出が詰まっているこの家に、

再び住める日が来るのだろうかと、

少し感傷的な気分になる。

しかし、プレトは自分に言い聞かせた。

……これからはルリスが使ってくれるのだから、それでいいじゃないか。

……ルリスが安全に暮らせるのなら、それでいいじゃないか。


プレトは、荷物でいっぱいになったレグルスに乗り込む。

帰れない可能性もあるのに、

プレトの心は予想に反してやけに落ち着いていた。

昨日、ルリスに会えたのが大きかったかもしれない。

ルリスは帰り際に、プレトの右手を自分の両手できつく握ってくれた。

プレトも自分の左手をルリスの右手に添えて、きつく握りしめた。

ルリスの手はとても温かかった。逆にルリスにとって、

プレトの手は冷たかったかも知れない。

「スプレー、ありがとう」と言ったルリスの小さな声が、

今でも頭の中で響いている。

結局、プレトの本心も、この旅が追放を意味しているということも、

ルリスには伝えられなかった。

傷付けたことを謝ることもできなかった。

だが、なんとか出発前に仲直りができてよかった。

スプレーを渡せてよかった。

変なジュースを買っておいてよかった。


しかしプレトは、思い出の反芻をそこで無理やり止める。

友人との仲が丸くおさまったのだ。

喧嘩別れにならずに済んだのだ。

それだけでもう充分だ。

そろそろ出発しなければ。

「私も、ほうれん草ババロアの方が好きかもしれない」

プレトはひとり呟くと、レグルスのエンジンボタンを押した。

レグルスがその場に浮遊し、ボディを支えていた脚が収納される。

プレトはU字のハンドルを握りしめ、ゆっくりとアクセルペダルを踏む。

レグルスが滑るように動きはじめ、道路に出ていった。

今まで帰る場所になってくれたボロ屋に、

心の中で「バイバイ」と別れの挨拶をした。


出発して数時間が経ち、いくつかの小さな街を通りすぎた。

昼食は、、、




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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第6話・旅立ちの日」

by RAPT×TOPAZ





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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第7話・ウチワモルフォ」

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公園内の親子連れが、不思議そうにこちらを見ている。

プレトとルリスは慌てて手を離した。

「今日はこの街で宿をとろう」

プレトがそう言うと、ルリスが意外そうな顔をする。

「装備の量からして、車中泊か野宿だと思ってた」

「そうなることもあると思うけど、

宿があるときは泊まる予定だよ。

資金はかなりもらっているから、

安いところを選べば、2人でも余裕だし」

多額の資金を手配してくれたのもチユリさんだ。

一人増えても、なんとかなりそうな額だった。

「それに」と、プレトが続ける。

「私たちはレディだし」

「そのとおりだね」ルリスは頷いた。


プレトとルリスは、公園内に設置された案内板を見にいく。

街の地図が載っていた。

宿泊施設を表す記号が、いくつか見受けられる。

「今日は初日だし、ここから近いところにしよう」

プレトはそう言ったが、ルリスも異議はなさそうだ。

昨日、急いで装備を揃えてプレトの後を追ってきたものだから、

やはり相当疲れているのだろう。

「ここに行ってみようか」プレトが、

公園から一番近い記号を指さす。細い道を通って、

レグルスで3分といったところだろうか。

記号には「5」という番号が振られていて、

案内板の隅を確認すると、《5.民宿》と書かれていた。

「民宿なんだ。近いし、いいと思う」

ルリスがすんなり了承した。


「ちょっと待って」



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第7話・ウチワモルフォ」

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第8話・旅の本当の理由」

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「…ちゃん、おは…う」

通信機から聞こえる声で目が覚めた。

「プレパラートちゃん、おはよう」

今度ははっきりと聞こえた。

プレトがのそのそと体を起こし、

隣のレグルスを見てみると、

ルリスがこちらに向かって手を振っていた。

「ルリスズメダイちゃん、おはよう」と返事する。

「いつ起きたの」

「ついさっきだよ」

辺りを見回すが、ウチワモルフォの姿は見えなかった。

予想通り、夜のうちにこの街を通過したようだ。

プレトは通信機に話しかける。

「とりあえず、レグルスの熱消毒機能を使おうか。

鱗粉の毒がなくなるはずだから」

「はーい」ルリスの声が聞こえた。


プレトは、ハンドル横のボタンの中から、

炎のマークがついているものを選んで押した。

ボタンが赤く点灯する。レグルスは、

強化ガラスやボディに特殊なシートが貼られていて、

これが数分間熱を発し、表面全体を消毒してくれる。

ウチワモルフォの鱗粉は熱に弱いので、

これで無毒化できるのだ。この機能は、

ただウチワモルフォ対策のためにあると

言っても過言ではない。

避難訓練でも、

近くの建物かレグルスに入れと教えられるほどだ。

やがてボタンの光が消え、消毒が完了する。

「終わったよー」

ルリスの声が聞こえてきた。

「こっちも終わった」

プレトが返事をする。

レグルスの中は安全とはいえ、

毒鱗粉に包まれているのはいい気がしなかった。

だが、熱消毒が終わるとともに気持ちが晴れてきた。

新鮮な太陽の光が、車内に射し込んでくる。

プレトは提案した。

「レグルスの熱消毒は済んだけど、周りは鱗粉だらけだから、

とりあえずこの街から出て、被害がないところまで移動しよう」

「賛成!」

朝から元気なルリスに励まされた。

2人ともエンジンボタンを押した。



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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第8話・旅の本当の理由」

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プレトとルリスの冒険 – 「第9話・カスタードルフィンをめぐる冤罪」

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「ひどいケガ…」ルリスは膝をついて、

カスタードルフィンに顔を近付けた。

正式名称はカスタード・ドルフィンだが、

連続する「ド」をくっつけて、

カスタードルフィンと呼ばれている。

淡い黄色の体色と、クリーム状の体液を持つことから、

この名前がつけられた。

主に空中で生活し、泳ぐように優雅に飛ぶことができる。

肺呼吸をするため噴気孔はなく、

クチバシの付け根に小さな鼻の穴が2つある。

そのため、海のイルカによく似ていても、

全く別の生き物であることが分かる。

「背びれに切れ込みがあるからオスだね、

子供かな…」プレトが呟く。

カスタードルフィンの成体は2mを超えると聞いたことがあるが、

目の前にあるその個体は50センチメートル程度だから、

おそらく子供だ。

左の脇腹に10センチメートルほどの切り傷があり、

とても痛々しい。

ルリスが眉をしかめて言った。

「密猟かな……」


カスタードルフィンは前頭部に、

黄みを帯びた大粒の真珠が埋まっている。

その真珠はジュエリーに加工され、

市場に広く流通している。

大きさも形も照りも安定しているし、安価なため、

二枚貝から採れる真珠よりも人気が高い。

体液中の成分が凝固したものらしく、

一定の大きさになると、自然にぽろっと落ち、

また徐々に新しい真珠ができるのだ。

体を傷付けずに、定期的に大粒の真珠を採取できるため、

国内には専用の広大な牧場がある。

人懐っこく危険な習性もないので、

自宅の敷地が広ければ、

申請を出してペットにすることも可能だ。

そのため、飼育下での個体数はかなり多い。

その反面、穏やかな性格が災いしているのか、

野生での個体数は年々減っているらしい。

採れたての天然真珠を求めて密猟が行われている

との噂もある。

カスタードルフィンは人々からとても愛されていて、

近年制定された法律により、

密猟者は発見され次第、

その場で懲役か罰金かを選ぶことになった。


できることをしようと思い、

プレトは装備の中から救急セットを取り出した。

中には一応、縫い針と、自然に吸収される糸が入っている。

問題は使いこなせるかどうかだ。

プレトも不器用ではないが、

ルリスの方が向いてそうだと思って尋ねる。

「ルリスさ、この子の傷口、縫える?」

「うーん……チャーシューを仕込むようなものかな?」

「……え?」

ちょっと待ってくれ。今なんて言った?



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「第9話・カスタードルフィンをめぐる冤罪」

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【連載小説】プレトとルリスの冒険 – 「第10話・初めての野営」

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「プレト…」

ルリスの声に、プレトはハッとした。

横に目をやると、ルリスが立ちすくんでいる。

クリームも様子を伺うように、プレトの顔を覗き込んでいた。

「何もできなくてごめん」

ルリスが蚊の鳴くような声で言った。

「……ううん。なんとか収まってよかった」

プレトは冷静さを取り戻し、タオルを掴むと、

レグルスの座席の足元に置いた。

「とんだ災難だったよ」

「うん……」

ルリスの声に覇気がない。

心を抉られた後に、

荒んだプレトを目の前にしたのだから当然だ。

なんとか取り繕わなくては。

「はあー、疲れたー」

プレトは、わざと特大のため息をつく。

「私の背中に、こなきじじい乗ってない? 身体が重いよ」

「乗ってないよ」

ルリスが答えた。

「ここで妖怪に襲われたら、脳が情報を処理しきれないよ」

「そりゃそうだ」

ルリスの口角が、ほんの少し上がっているのを確認し、

プレトはホッとした。


すでに陽が傾き始めている。

移動する気力もないので、

今日はここで野営をすることにした。

先ずはテントを張る。

それぞれ1人用のトンネル型テントを持参していた。

「同じブランドを選んだよ」

ルリスがニヤッとした。

出発前日にプレトの装備を確認しただけで、

ブランドまで記憶したようだ。

あの時点で、

ルリスはついてくる気満々だったのだろう。

テントの端と端を連結させ、細長いトンネルにした。

出入りするときは側面の開口部を使う仕組みだ。

プレトもルリスも細身なので、

横に並んでもなんとか寝られそうだったが、

さすがに寝返りしたときに辛そうだから、

頭を向かい合わせにして寝た方がいいかも知れない。

プレトの難燃性小型タープテントも、

すぐそばに張っておいた。


テントの設営が終わると、

タープの中で焚き火を起こした。

「わたしの装備、プレトの装備の下位互換だからさ、

こっちの薪から使おうよ」

ルリスが提案してくれたので、お言葉に甘えることにした。




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